65歳を超えたら、そろそろ遺言書を作っておきませんか?

遺言書作りはまだ元気なうちに

歳をとり、病気がちになったり、身体が不自由になってきてから、ようやく本人が「遺言書を書かないと」と思ったり、お世話をする家族などが「そろそろ遺言書書いといてくれないかなあ・・・」と思われてから弊所にご相談に来られるケースが多いのですが、日頃字を書くことがほとんどなかったり、手が震える人などは、便箋一枚の遺言書を作ることすら大変になります。
 ましてや、認知症になってしまってからでは、もはや遺言書は作れません。
 遺言書は、まだ身体もアタマも元気なうちに作成しておくのがベターです。
 遺言書がないと後々相続人が困るようなお家事情があるのであれば、わざわざ書けるか書けないかのギリギリの年齢まで遺言を書くのを先延ばしにする理由はありません。
色々ご相談を受けてきた経験上、身体的に衰えてきてからでは、精神的にも正常な判断が難しくなるように思います。公正証書遺言は公証人手数料が掛かることもあり、そう何度も書き直すのは大変ですが、自筆証書遺言ならば、事情が変わったときには、毎年でも、何度でも書き直せばいいのですから。

遺言書は「遺書」とは違います。

 遺言書のことを『遺書』と混同しているのか、「そんなの、まだ早い。」という人がおられますが、
『遺言』は民法第960~1044条に定められた、15歳以上の者がすることができる正式な「法律行為」です。(法的には、「ゆいごん」ではなく「いごん」と言います。)
民法の規定を満たす方法で書かれた遺言は、裁判の判決と同等の効力があります。(法に違反する場合を除く。)
『遺書』(いしょ)はTVドラマとかで耳なじみでしょうが、大概は自殺する人などが死の直前に書いた「書き置き」であって、法的効力はありません。

また、80歳を過ぎてもなお、自らの『地位』や『生』に執着し、自分の死に関することを忌避したり、縁起でもないと思うのか、「遺言なんて」と、作ろうとはしない人もいます。周囲から相続や財産や遺言などの話が出ようものなら「殺すつもりか!」と怒り出したり。
誰しもいつかは死んでこの世からいなくなるのですから、このような態度は人として潔くないばかりか、むしろ残された相続人や親族などに後々迷惑をかけることになると知らなければなりません。

健康寿命

令和元年現在、男性の平均寿命はおよそ80歳、女性の平均寿命は86歳ですが、厚生労働省の2016年統計によれば、亡くなる前の不健康期間(日常生活に支障がある。)は平均で男性9年、女性12年とのことなので、平均寿命から不健康期間を差し引くと、健康寿命は平均で男性71歳、女性74歳です。
ということは、遺言書は、身体もアタマも「健康」なうちに、つまり65~70歳過ぎぐらいまでに書いておくのが安心ということになります。

意外に作れない自筆証書遺言

遺言書が作りたいと私を訪ねて来られるクライアントでもあった例ですが、80歳以上の高齢になると、長年書き慣れた名前や住所などは割とスラスラ書けても、ちゃんとした文章や少し難しい字などが書けなくなってきます。

私が遺言書の案を作ってさしあげて、このとおり自筆で書くよう申し上げても、なかなかうまく書けず、何回も書き直したあげく、結局は自筆遺言をあきらめ、口述で作れる公正証書遺言にされた方もありました。
自筆で文章を書くのがおぼつかなくなれば、当然、自筆証書遺言は作れませんし、認知症になってしまって、言うことが二転三転するなど、公証人に遺言能力がないと判断されれば、公正証書遺言ですら作ることができなくなります。
また、お金をかけたくないからと、専門家の力も借りずに自分で自筆証書遺言を作ろうとされる方も散見されますが、法律的用語の理解や文章力の不足などから、意味不明・不明瞭、あるいは要件の欠落した遺言書であれば、最悪、無効となる場合もあるため、専門家の手を借りずに自力で自筆証書遺言を作ろうとされる場合には、事例や判例などまで含めてよく勉強した上で、細心の注意を払って書く必要があります。

相続や遺言に無関心・無理解な人が多い

 「ウチは遺言書を書くほど財産ないから。」と言う方にちょくちょくお会いしますが、そういう方は、資産家の相続争いのドラマに出てくる遺言書のイメージしか知らないと言っているようなもの。
亡くなった方の預貯金や不動産その他の財産を、遺族がどう手続し処理すればいいのか、自分が遺志も残さず死んだら、遺族が困るのか困らないのか、イメージも理解もされていないのでしょう。
いざ相続が発生してしまってからでは、事前によく考えておけばできた相続対策もあとの祭りです。
 相続の際に、「遺言書」の存在は一番重要で、「有効な遺言書」があればその内容に従って遺産の分割(遺言の執行)が行えますが、遺言書がない場合、又は自筆遺言書があっても法的に不備なものであれば無効となり、相続人全員で遺産分割協議をし、全員の実印で「遺産分割協議書」という書類を作成しなければなりません。
遺言書か遺産分割協議書がないと、銀行等が故人の凍結口座を解除してくれませんし、不動産も単一相続人への変更登記がされずに、全相続人の「共有状態」となってしまいます。
 こういうことを知らない人ほど「遺言書書くほど財産ないよ」という言い方をします。

普通の家ほど相続でもめている

 相続にまつわる訴訟や調停事案のうちの75%、つまり相続で揉めている家の4軒に3軒は、遺産総額5千万円以下で、相続税がほぼ掛からず、財産もそれほど多くない、つまり「普通の家」であり、逆に、遺産が5億以上あるお金持ちが相続争いになっている率は、わずか1%しかありません。(平成29年司法統計より)

 このデータが示しているように、現実には、お金持ちよりも、ごくごく普通の家のほうがモメています。

 つまり、お金持ちではない普通の人ほど、「遺言書がなければ『法定相続』になり、そのほうが公平で誰も文句を言わないのでは?」などという大きな誤解(非常に浅い見識)をしていたり、遺言書の効力その他相続手続き全般に無知・無関心な人も多く、結局、遺言書を残さずに亡くなるケースが多く、それぞれの家の事情に応じた遺言書さえ作ってあったなら、まともで妥当な、もっといい相続ができたのに・・・という残念な事例が非常に多いのです。

 成金じゃなく、由緒正しいお金持ちは、名家の人間としてふさわしい知識教養も身に付け、顧問弁護士や税理士とかがいて、本人が生前からそれら専門家と相談し、遺言書や生前贈与、保険の活用などなど、自らも勉強し、ちゃんと相続対策するので、むしろモメる率は低いんです。

 普通の家の多くの方は、「大した財産もないし、ウチの家に限って、モメるはずはない。」などと勝手に思い込んだりして、実際には、多くの方が何もしません。
 そのため、遺言書すら残さないで亡くなる人が圧倒的に多いのですが、それは、
 そもそも何がモメる元になるのかすら分かっていないから。

 人が亡くなれば「相続」が開始し、財産が多かろうが少なかろうがほぼ同じ手数が掛かります。

 問題は、遺されたお金や財産の多少ではないのです。

現実的な事例

 非常に現実的な例で言うと、亡くなった親の財産の大半が家と土地(評価額=2000万円)で、預貯金は1000万円、遺言書はなくて、相続人は子が3人だと、どうやって分けますか?
 家と土地をもらう人は、お金もくれと言いませんか? 他の人はそれで納得しますか? もしくは、家と土地を売って金にして1000万円づつ平等に分けろと言いませんか?

 遺言がなくても、生前から分け方の合意ができていれば、すんなりと遺産分割協議書が作れますが、そもそも、相続人同士の仲は良いですか?
 この例の場合、きょうだいの仲が険悪になり、調停や裁判になってしまったら、ほぼほぼ、法定相続分の1000万円ずつの分割で和解せざるを得ず、家と土地を取得する人は、一銭も現金を貰えないばかりか、残る二人のきょうだいに500万円ずつの現金を払う羽目になります。

 それも難しい場合は、結局、親が一生懸命働いて手に入れ、自分たちが育った実家の家土地を売りに出し、売れればお金にして分けられますが、売れなければ全相続人の共有名義で登記するしかなく、不動産を共有名義にすると、そのうち名義人が亡くなる度に相続人が増え、大抵の場合、いつまでたっても解決せず、将来、「所有者不明土地/空き家問題」になる可能性が高くなります。

 親が亡くなり、死亡後のいろんな手続をし始めてから、あるいは存命中でも認知症になってしまった時に、それまで考えてこなかった問題が表面化してきます。
思ったよりも手続が多く複雑・煩雑、かつ一定の期限までに行う必要がある上に、いざ遺産分割となると、財産のことについてこれまで真面目に話し合ったことすらなかったり、各相続人の認識に相違があったりして、なかなか話がまとまらないことは、よくあります。

 親夫婦が居住している家・土地以外にそれほど財産がない「普通の家庭」の場合によくあるケースでは、夫婦のどちらかが亡くなり、配偶者とその子供たちの相続(一次相続といいます。)では、よほど家族仲が悪くない限り、とりあえず配偶者が全部相続し、その家に住み続けることで、ほとんど問題になることはありませんが、その配偶者が亡くなった(二次相続)時に、子供(兄弟やその代襲相続人(子が死亡している場合、つまり孫))の間で、お家騒動になることが多いです。※

平等に分けることが難しい財産しかなかったり、特別受益者(生前、親からかなり利益・恩恵を得ていた人)がいたり、寄与分があったり(親の稼業や財産、生活面等でかなりの貢献をした人)、しまいには子(相続人)の配偶者までが口を出してきて、遺産の分け方で相続人全員の意見がまとまらず、死後3か月の期限内相続放棄限定承認もされず、各相続人が遠隔地に住んでいる、仲が悪い、面倒臭いなどの理由で、遺産分割協議書が作成されなければ、法務局へ相続登記ができず、結局、親名義の土地や建物は自動的に相続人全員の共有物となってしまいます。
(登記簿上の所有者は死亡した親名義のままです。)

そうなると今度はその家土地を売ってお金にしたくても、あらためて親の死亡時に遡って全相続人で遺産分割協議書を作成し、誰か一人の名義にして登記するか、それが無理なら相続人全員の共有持分の登記をした上で、売買契約書に全員の実印を押さない限り、売ることもできず、そしてそのまま、さらに代が進んでしまうと、会ったこともない甥や姪やいとこなど、相続人(共有持分の法的所有者)の数が増えてゆき住所も分散し、処分するために必要な手続をすることすら、どうにもならなくなってしまいます
実際に、大都会のど真ん中や復興工事予定の被災地に所有者不明の廃屋があって、地域の再開発などができず、役所も手をこまねき問題になっています。

 これこそ、落語や時代劇に出てくる「田分け者」? いや、それ以下です。
田んぼなら、一人づつの持分は小さくはなっても分けられはしますが、戸建てなどの家土地は、売れない限り、分けることもできません。

 遺言書もない、相続人が集まらず遺産分割協議も進まない、そんな場合はただただ3か月、10か月の期限だけが過ぎ、そのまま10年、20年と放置すると、このようになってしまいます。
 冒頭の例のような場合たとえば、「親の面倒を見、実家で同居してくれていた長男に家・土地を、預貯金は兄弟3人で3等分にせよ。」との遺言書があったとしたら、たとえ少々の不公平があったとしても、亡き親の遺志を汲んで、遺産分割や相続手続もスムーズにいったのではないでしょうか?
(とはいえ、あまりにも理不尽・不公平な遺言をすると、不満な相続人から裁判所に「遺留分侵害額請求」を出される可能性が出てきます。)

預貯金の口座名義人が死亡すると、銀行等はその口座を凍結します。

(一部の相続人が故人の遺産であるお金を勝手に引き出し、あとで他の相続人との間でイザコザが起きた時に、銀行等が巻き込まれないため)

そうなれば、遺言書がない場合は亡くなった方の出生から死亡まで連続した全てが判る戸籍謄本、除票と、相続人全員の故人との関係を証明する戸籍謄本や住民票を揃えるため、故人が生まれた時、筆頭者が代わった時、結婚や養子縁組をした時、本籍を移した時など~亡くなった時までの本籍地の役所を次々と辿って直接手続に行くか、郵便請求で取り寄せ法定相続情報一覧図を作成し、全ての遺産を正確に計算した相続財産一覧表(遺産目録)を作成し、相続人全員が集まって遺産分割協議を行い、全員の実印を押し印鑑証明書をつけた遺産分割協議書を作成して、誰が何を相続したのか事実関係を証明するか、それができず法定分割(共有状態)となっても、やはり戸籍関係書類などで相続関係を証明し、相続人全員の実印を揃えなければ、銀行は口座の凍結を解除してくれません。
(口座の凍結により葬儀費用さえ出せないようなケースを救済するため、2018年の民法改正で、2019年7月以降の相続は、全員の印鑑がなくても自分の法定相続分の1/3までは150万円を上限に引き出せるようになりました。)

 遺言書は法的効力を持つので、のちの遺産分割の円滑な実施の助けとなり得ますが、民法上の要件を満たした遺言書が作成された場合に初めて遺言としての法的効力が認められます。

 また、あまりにも理不尽な遺言内容としてしまうと、不満な相続人から裁判所への「遺留分侵害額請求」という、これもまた後々親族間での争いの種となりかねない事態になってしまいます。そのため、遺言の内容を実現させるためには、細心の注意を払って戸籍等の事実確認・財産等の事前調査を行い、慎重に遺言に書く内容を決める必要があります。

専門家の知恵を借りましょう。

 自筆証書遺言であれば、ご自分で勉強されれば作ることはできるでしょう。
ただし、書き方はもちろんのこと、事例も十分に研究され、お家の事情に合った内容で、法に定める様式を満たして正しく作られることが大事であり、相続人の確定のため関係者全員の戸籍謄本等や登記情報・不動産関連書類等を集めなければならず、慣れない方にとっては、手間や時間が相当掛かると思います。
そのような勉強や手間暇を掛ける時間などを楽しんでやれる方にとってはおすすめの方法かもしれませんが、そうでない方には我々のような専門家にご相談頂くのが近道だと思います。

 当事務所では、ご家族や財産の状況、実現したい相続のカタチに応じ、最適な遺言の内容・方式をご提案し、それぞれのお家の事情に合った遺言書の作成をお手伝いします。

 また、相続手続開始後は、戸籍関係書類の収集(被相続人・相続人)や、相続人への通知・招集、遺産分割協議への立会/説明、相続財産一覧表(遺産目録)・遺産分割協議書の作成、遺言の執行等を通じて、スムーズな相続手続きを支援致します。

★これら権利義務・事実証明に関する書類、官公署提出書類(裁判所、検察庁、法務局、労働基準監督署、ハローワーク等を除く)の作成・提出等を受任することは、行政書士の法定独占業務です。
(※相続登記申請や、相続税申告で、それらの添付書類証明等のためであれば、司法書士や税理士なども作成することができますが、すべての司法書士、税理士が相続に詳しい訳ではありません。)

行政書士法 第一条の二
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」

※相続不動産の登記(司法書士)や、相続税の申告(税理士)など、行政書士の所掌範囲外の業務に関しては、提携している専門家に依頼・連携し、極力、ワンストップで対応致します。

遺言・相続には様々なケースがありますが、当事務所では例として次のようなサービスを提供しています。

各種官公庁届出・申請手続 33,000円~220,000円  (税込)
自筆証書遺言の起案及び作成指導 33,000円  ※遺言書のお預り/保管/執行も別途承ります。
相続人・相続財産の調査、財産目録の作成 55,000円~  ※面倒な戸籍関係書類の収集等をお引受けします。
遺産分割協議書の作成 55,000円~  ※相続人同士で遺産の分け方を決める書類です。
財産管理委任契約書の作成 33,000円~  ※要介護者とそのサイフを預かる方の間の契約書です。
任意後見契約書の作成 55,000円~ ※要介護者と任意後見人との間の契約書です。
公正証書遺言の作成一式 66,000円~  ※草案作成、公証人打合せ、証人手配含む。
遺言執行者の受託 330,000円~  ※遺言書の保管、遺産分割、相続登記まで責任を持って執行致します。
家族信託プロデュース 330,000円~  ※信託契約書の作成、信託口口座作成の銀行調整、信託登記の調整まで責任もって実施します。
基本相談料(1時間あたり) 5,500円  ※初回相談は無料です。

 

※上記価格は標準業務例であり、業務内容等の軽重・難易度等によっては、応相談とさせて頂く場合があります。

★表中の業務は一例です。その他何でも、相続や遺言に限らず、お困りのことなどございましたら、まずは初回無料相談をしてみて下さい。

★申請手続に必要な公的費用/料金、旅費交通費、現地調査費等の実費は別途頂きます。
 原則として、業務着手時に、印紙・証紙代や官公署手数料等の実費と、報酬額の概ね半額を着手金としてお預かりし、残額は業務の完了時に精算致します。
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